
【プロダクト】インソールプロ スポーツ開発秘話 【後編】
シリーズ「プロダクト」では、製品に関するリポートをご紹介しています。
【前編】に引き続き、「インソールプロ スポーツ」の企画立ち上げ当時からプロジェクトに参加している、フットケアグループの大島マネージャーにインタビューを実施しました。
【前編】では株式会社村井がスポーツ用インソールの開発に力を入れているワケを伺いました。
【後編】では、今まで以上に「モニター調査」を重視した「製品開発のエピソード」や「こだわりポイント」をご紹介したいと思います。
※本記事は弊社コーポレートサイトにて2018年10月4日掲載記事を再編集・追記したものです
目次
「机上であれこれ悩んだってしょうがない!」
開発担当者自ら、イベントに参加!
地道な活動からの大きな出会い
トライ&エラーを繰り返したどり着いた形状
「製品の向こうにはお客様がいる」
お客様の反応は…?
「机上であれこれ悩んだってしょうがない!」
ランニング用インソール
──まずは、「ランニング用インソール」のモニター調査について教えてください。
「ランニング用インソール」の開発では、連携している大学の教授から話を伺うだけでなく、実際に学生の方にモニターとして、インソールを着用して走っていただきました。
▲残像が見えるほどの全力疾走!果たしてインソールを体感した結果は…
狙っていた通りの結果を得た箇所もあれば、足の圧力を測定する機器で検証した結果はベストなモデルでしたが、人間が履くと「この部分に違和感がある」等、官能評価ではイマイチな箇所もあり大変参考になりました。
<<※官能評価とは…?>>
人が味覚、嗅覚、触覚、視覚、聴覚の五感を使ってそれぞれの要素をどう評価しているかを調査し、結果を分析する手法
パワフルな蹴りだしをアシストする、業界初「ボールロックシステム」
「ランニング用インソール」の形状設計において、1番のこだわりだった「ボールロックシステム - 母趾球(親ゆびの付け根あたり)をロックする形状」は、「靴のなかで足が滑りにくくなり、蹴り出しの力がそのまま走りに繋がる感じがする」と好評だったので一安心。
帰社してから、モデルの高さや硬さをミリ単位で再調整し、形状を決定していきました。
▲計算しつくされたくぼみ
開発担当者自ら、イベントに参加!
ウォーキング用インソール
──「ウォーキング用インソール」もモニター調査を実施したのですか?
はい、実施しました。
「ウォーキング用インソール」は、開発担当者3名がウォーキングイベントにエントリーし、インソールを着用し、自らウォーキングをしました。長時間着用してきたことで見えてきた課題をひとつひとつ改善していきました。
▲ウォーキング大会に参加した際の完歩証。ウォーキング用インソールを使用して14㎞を歩き切りました!
また、イベントの参加者にもインソールをお配りし、大会中に着用していただき、率直なご意見を伺いました。
理想的な歩行をサポートする「ウォークコントロールボード」
こだわった「ウォークコントロールボード」は、着用時の違和感がなく、履き心地も好評価。理想的な「あおり歩行(※)」がサポートできるため、疲れにくく長時間歩行することができました。
足の裏は、砂利が入っただけでも、とても気になるくらい繊細です。違和感を抱えたままでは、ウォーキングはできないと考えていたため、こちらも一安心でした。
<< ※あおり歩行とは…? >>
かかとの少し外側から地面を踏み、小ゆびの付け根、親ゆびの付け根へと体重を移動させ、親ゆび、ひとさしゆび、中ゆびも付け根の関節を屈曲しながら地面をつかむように後ろへ蹴って歩行すること。理想的な歩行とされている。
地道な活動からの大きな出会い
トレッキング用インソール
──「トレッキング用インソール」のモニター調査のエピソードも教えてください。
「トレッキング用インソール」は、SNSを使用し、登山愛好家の方々にモニターのオファーをしました。電話をかけたりと地道にモニター集めを行ったのですが、なかなか難しかったです。
そんな折、たまたま連絡をした方が登山界で有名な方で、「それじゃあ、若い奴らを紹介してあげるよ!」と、ご厚意で別の方をご紹介していただきました。
ご紹介いただいた方が、またまた登山界では有名な方で。その方がSNSでモニター依頼の声かけして下さったら、10分もしないうちに、「モニター参加したいです!」との逆オファーが殺到!嬉しい悲鳴でした。
横のアーチサポートは、あえてなくす
実際に、着用していただくと「つま先の辺りに圧迫感がある」という声が。
どうやら、ゆびの付け根にある「横アーチ構造」をサポートするパッドがその原因のようでした。登山は、「踏み込む」「踏みしめる」動きが通常の歩行よりも強いので、足を支えるパッドが逆に違和感に繋がっているようでした。
モデルを削るための道具も持参していたので、モニターの目の前で微調整を行い、何度も試履きしていただきました。
その結果、機能的にはつけた方がいいけれど、より「使う人」の意見を尊重しようと、パッドを入れない決断をしました。
足首を守る、深いヒールアップ形状
トレッキング用インソールの一番の特徴は「足首を守る深いかかとカップ」です。
登山中に多い「捻挫」を予防し、力強く歩いていただけるよう、深さ2.0cmの「ヒールカウンター」を設計しました。
かかと部をホールドすることで、足が登山靴の中で動きにくくなり、「しっかりとした一歩を踏み出せる」と好評でした。
トライ&エラーを繰り返してたどり着いた形状
ゴルフ用インソール
──「ゴルフ用インソール」のモニター調査のエピソードも教えてください。
ゴルファーを足もとからアシストすることで、若い方から年配の方までゴルフをより楽しくプレーできないかと考え、「飛距離アップ、スコアアップ、楽しくプレーできる」をコンセプトに研究を行い、「左右で形状の異なる右利き専用」ゴルフインソールを開発しました。
開発に至ってはティーチングプロのアドバイスをいただき、東京工科大学にご協力いただいて動作解析・検証、さらにアマチュアゴルファーによるモニター調査も行いました。
左右で異なる形状
──プロからのアドバイスに動作解析、モニター調査も!製品完成までの道のりを教えてください。
ゴルフというスポーツはスイングの際に右足と左足にそれぞれに“異なる動きが求められる”という点に着目しました。
靴やインソールは左右対象が当たり前。ですが、ここはあえて“左右非対称”のインソールを設計してはどうだろうかと。
ティーチングプロやセミプロ、ゴルフを愛する一般の方々の意見を積極的に収集を行い、"左右非対称"のインソールの可能性を感じたときは嬉しかったです。
しかし、左右非対称ゆえに、履き心地に違和感が生じてしまい、プレーに集中できないという課題がありました。
履き心地と機能を両立するための指標が欲しいと考え、東京工科大学 にも協力を要請。専門の機械で動作解析し、1番飛距離が伸びる角度を科学的に検証したことで、意味のあるトライ&エラーを重ねることができました。
モデリングの回数も気づけば二桁になったころ、やっとの思いでインソールが完成!早速、実際にモニターを集め、ラウンドをしてもらいました。
──モニター調査の結果はいかがでしたか?
出来上がったインソールに自信を持っていましたが、本当に飛距離アップに繋がるのか、履き心地に違和感はないのか、と緊張しました。
モニターの方々の平均スコアが85.0。
90台を切ると、さらに良いスコアにすることは難しいですよね。
しかし、実際にラウンドしてもらうと想定以上の結果が出たんです。
なんと平均1.6打ラウンドアベレージが下がりました。
この結果が出た時は思わずガッツポーズ!期待以上の結果に開発の苦労が報われた気持ちでした。
また、嬉しかったのがモニターの方々からの声。
「スイングが安定した」
「スイング中はサポート感があるのに、歩行中は左右のインソールの違いを感じないのが良かった」
「足裏にフィット感があり、一度使うと手放せない」というような声が続々挙がりました。
「製品の向こうにはお客様がいる」
──積極的にモニター調査を実施したのですね!なんだか、「ユーザーと一緒に作り上げていった」というような印象を持ちました。
そうですね。足についての知識や技術があると、理論上では知っているつもりになって企画開発していることがありますが、大切なのは「ユーザーに愛用してもらえるか」だと思います。
今回の企画開発を通して、「製品の向こうにはお客様がいる」ということを改めて、感じることができました。
スポーツを愛する多くの方々に、ぜひ「インソールプロ スポーツ」を手に取っていただきたいです!
──以上でインタビューは終了です。大島マネージャー、ありがとうございました!
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