
外反母趾の話
コラム第3回目のテーマは「外反母趾」です。
老若男女、誰にでも起こりうるトラブルです。
「外反母趾」というワードを聞いたことのある方は多いのではないでしょうか?
足トラブルとして真っ先に名の挙がる「外反母趾」ですが、具体的な症状、原因についてはあまり知られていません。

外反母趾とは
「外反母趾」とはズバリ、親ゆびが「く」の字に変形していしまっている状態のことを言います。
「親ゆびが曲がって、付け根が腫れて痛い」というイメージがありますが、「外反母趾」がもとで親ゆび付け根が腫れて痛むことは「皮下(ひか)滑液(かつえき)包炎(ほうえん)(バニオン)」と言われ、区別されます。
「親ゆびが曲がっているけど痛くないから…」と放置していると変形が進行してしまう可能性がありますので注意が必要です。
では、どれほど親ゆびが変形してしまうと「外反母趾」なのでしょうか?
チェック方法
図のように、紙の上に足をのせる。
足の内側に沿った直線と親ゆびに沿った直線を引く。
交差した角度を分度器で測ります。

正常値 |
9~20度 |
軽度 |
20~30度未満 |
中等度 |
30~40度 |
重度 |
40度以上 |
測った際の角度により外反母趾であるかが分かります。
角度が大きくなればなるほど「外反母趾」が進行しています。
外反母趾の原因って?
外反母趾は親ゆびが曲がってしまうので、ゆびに原因があると思われるかもしれません。
ですが、実はゆび以外の箇所に原因があります。
外反母趾の原因だと言われているのが足のアーチの崩れです。
足の指の付け根の辺りには「横のアーチ」と呼ばれるアーチがあります。
左が正常なアーチです。このアーチが崩れてしまうと、右のように足の幅が広がってしまいます。

アーチが崩れる原因は、足に合わない靴を履くことや遺伝などが様々あります。
特に女性は男性と比べて骨と骨をつなぐ靭帯が柔らかく伸びやすいため、横アーチが崩れやすいと言われています。
横アーチが崩れて骨格が緩んだところに、つま先に負荷がかかることで変形してしまいます。
横アーチが崩れると足幅が広がり、足に合っていない大きいサイズの靴を履きたくなってしまいますが、足に合っていない靴は足の変形を進行してしまうので注意してください。
外反母趾の対策
重度の外反母趾治療には「骨切り」といわれる手術が必要な場合があります。
整形外科などの専門医の方に相談しましょう。
一方で軽度の方の対策は日々の生活の中で行うことができます。
重要なのは「横のアーチ」を支えてあげることです。
こうすることで正常な足バランスに近づけることができ、外反母趾の悪化を防ぎます。
「横のアーチ」を支えながら滞りなく生活するにはインソールがおすすめです。
インソールは複数の靴に使いまわしができるため、お出かけの際の靴選びに迷いません。
インソールのつま先あたりに「横のアーチ」を支えるパッド形状のついているインソールを選びましょう。
また、足の下にタオルを敷き、指を使って引き寄せる「タオルギャザー体操」も足ゆびの筋肉を鍛えることができるため有効です。
インソールの使用と併せて行っていくと効果的です。
足は一生ものですので、毎日のケアを欠かさずに楽しく歩いてお出かけしましょう!
(参考:日本整形外科学会外反母趾診療ガイドライン 2014改定第2版)
(参考:足と靴-その整形外科的処置法 初版)